フランスのベーシスト、ジョエル・レアンドルと佐藤允彦のデュオを2005年の8月に見に行った。そのときの録音がCD化されたので早速聴いた。当時見に行ったときの印象とはずいぶん違ってこんなに凄かったかとあらためて思った。耳だけで捉えた方が面白いのかなとも思った。いやそんなことはないですね。目と耳のほうがというかライブのほうが圧倒的に情報が多いのだから。ああそうか。私の情報処理能力がいっぱいいっぱいだったのか。なんだそうか。ううっ悲しい。まあそれはそれとして、ベースはつくづくへんてこな楽器だなあ。こういったフリーフォームの音楽には特にそう思う。楽音だか雑音だか弓ひいたりはじいたりひっぱ叩いたり蹴飛ばしたり。力が要るのでうめき声のような恐ろしい声なども発せられる。たまにきれいな音がでたりするので始末が悪い。未完成な楽器だから面白いんだなあ。最近はテクノロジーの発達により新しい弦など開発されアンプも良くなりチェロまがいの演奏もあるが、にしても技術がまったく追いつかない。他の楽器同様に弾けるようになるには数千世紀待って人間の体がコントラバスを自由にできるように進化しなければ無理なのである。たった一オクターブチェロより低いというだけでこれほどの差が生じるのだからまったく手に負えない楽器です。ああ今日もこいつを担いで格闘しに行くのだ。