さてさて、初回は応援団長級の市沢真貴子さんです。
たとえば、映画を観る。感動する。で、さっき観た映画のタイトルはというと、「えーと?」。関心の置き方が少々ズレている。注意散漫というか、神経が末端まで行き届いていないというか。刹那、刹那に心地よさだけがあればいいアメーバ人間。名作、名曲、著名人には申し訳ないほどの逆オタク。
が、一目惚れしたベースマンがいる。音楽音痴な位の無教養さを誇りながら、なぜかベースの音が肌に合う。初めて聴けたのは、確か猪俣さんとのとき。「わっ、イイ」と思った。衝撃的というよりも、お中のなかで魅かれてしまった。心を託すに不足なし。即座に名前がインプット。以来、他のどなた様にも耳も目もくれずに、一途に惚れ続けてしまっている。逆オタクがのめり込むと凄いものがある。ほとんどのベース奏者は、比較され、一蹴されることになる。どうしてこんなに、とアメーバ女もたまに考える。考えても分かるはずもなく、とにかく、お中がときめいたのだ。
本州最北端の地ゆえ、生演奏にお目にかかることはまれ。ポスターに加藤真一を見つける。当日まで、楽しみで楽しみでしょうがない。いざ、マイベースマンの指先を目前にしたときには、ワクワクし過ぎて疲れきっていてしまったりする。それでも、指が動き始める。口元がスイングし始める。テンション、アーップ!、何度でも同じようにお中がムズムズと熱くなる。不思議なほどよい。
アメーバ女に戻る。加藤氏がとーっても心が広いことをいいことに、好きなだけ勝手な口をたたく。デカイ方のベースでなきゃ嫌だとか、こちら(青森)にやってこいとか。終いには、自ら青森ファンクラブ会長(目下、会員一名。準会員二名)にのし上がる。
会長のなお、凄いところは、日頃の加藤氏のお仕事の様子を何もご存じないこと。数年前の当地のジャズフェスで、「売れっ子」だということを初めて知る。会長「へっ?」。
今年の春、近場のライブハウスで高齢ジャズキチに出会う。「加藤さんは、もう凄いよ。こっちの人はみんなファンだよ」。会長「へっ?」。そして、つい最近、20年のキャリアをもつ音響マニアの某店のオーナー。氏もベースマン。「加藤さんのやつ、ありますよ。掛けてあげますか?」。会長「へっ?」。
誰よりも一番ファンだと思っていた会長は、少し複雑だったりする。「そうなんだ・・・」。自分の歳もときどき定かでない会長は、今までどれほどの口を聞いてきたか、幸いなことに覚えていない。こんなのに好かれる人も大変だと思う。
でも加藤さんはあきらめなければならない。お中にきく歌心と、控えめそうで、そうでなかったりするセンスのよさが、プラスご本人の人間性が、こういう事態を引き起こすきっかけとなったのだから・・。
田舎の会長の隠し財産。数枚のCDと、数本のビデオ、NYの絵葉書etc.そして今に、待望の一枚。
青森県 市沢真貴子
*真貴ちゃんは私が東京出たてのへたっちーの時から、青森、八戸近辺でやるときは、必ず来ていただいてます。どうもありがとう。