冨谷正博急逝。私が知らされたのは北海道でだった。
今年68歳になるはずだから早すぎる。
知り合ったのはかなさし庸子さんと嶋津健一さんを通してだから
20年くらいの付き合いになる。
ローヴィングスピリッツで製作したCDは私のが11作、
関係しているのが20作以上になる。
辛口で知られているようだが、私にしてみると優しい先輩。
私の主張はほぼ全面的に聞いていただけたように思う。
私にとっては片腕をもがれたような砂漠でおいてきぼりにされたような。
加藤さんあとは自分でやってね。そんな声が聞こえる。
ずいぶん頼っていたんだなと改めて思う。
長野の別荘(本人はレコード小屋と言っていた。)
に行った時の歌謡曲自慢や皿回し自慢を思い出す。
ライフワークと言っていた源氏物語を録り終えたのがせめてもの救いか。
ジャズに限らず音楽全般を捉える視野の広さ、私のような偏向的な意見でも
上手くフィルターを通してまとめ上げる手腕は見事だった。
近年の不況、大手のジャズ離れ。
『うちは駆け込み寺みたいになってきたよ』とぼやきながらも
ずっとミュージシャンサイドに立ってくれていたと思う。
残念としかいいようが無い。
私はまた一人味方を失った。